言霊原理の島 ⑨吉備の児島

日本民族

こんにちは、デデです。

 

言霊原理の島、今回は吉備の児島です。

 

前回までで言霊原理の言霊50音が出そろい、言霊百神の半分が登場しました。
吉備の児島から言霊の整理・運用をつかさどる言霊が登場することになります。

 

言霊の整理・運用の目的は

言霊をどう操作・運用して人間精神の究極の行動規範(=鏡)をいかに作っていくか

という精神性を獲得することです。

 

日常生活で、言霊50音による人間精神の構造を作っていくプロセスは、
のちに出てくる「身禊」の創造行為につながります。

言霊50音をまず自覚する可能性が秘められているのは
日本語を使うわれわれ日本民族であることは言うまでもありません。

 

そして「古事記と言霊」で説かれる内容は「指月の指」であることを自覚されて
引き続きご自身の言霊を自覚していただくことが真理に到達する近道となります。

 

言霊の整理・運用は50個ありまして50の神の名がつけられています。
今回の吉備の児島から早速7神登場します。

吉備の児島とは「よく備わった締り」の意です。
島に児がついているのが初歩の締めくくりであることを示しています。

引用:「古事記と言霊」五十音の整理・運用

何が初歩の締めくくりかと言いますと、言霊50音の整理で通過しなければならない音図の完成であり、吉備の児島でまず初歩的な音図の完成を見ることから、
まさに初歩の締めくくりとなっているのです。

 

吉備の児島に座する言霊の整理・運用法は
金山毘古神、金山毘売神、波邇夜須毘古神、波邇夜須毘売神、弥都波能売神、
和久産巣日神、豊宇気毘売神です。

本内容は島田正路著「古事記と言霊」に沿って、私なりに内容をまとめたものです。

金山毘古の神・金山毘売の神

たぐりに生(な)りませる神の名は金山毘古(かなやまびこ)の神
次に金山毘売(かなやまひめ)の神

引用:「古事記」

たぐりはここでは手繰(たぐり)の暗示です。
金山毘古の神の金(かな)は神名(かな)文字のことであります。
言霊を粘土板に書ききざんだ迦具土(かぐつち)を手でたぐりあつめて
何が生じる(=なりませる)かと言えば、神名文字の山(=金山)ができます。

言霊50音を整理しますよ、ということでまず50音の神名文字を全部集めたのですね。

 

そして金山毘古の毘古は言霊の、金山毘売の毘売は言霊を秘めた文字となります。

 

たぐり寄せられた言霊50音の音には金山毘古の神の名がつけられ、
言霊50音の文字には金山毘売の神の名がつけられました。

波邇夜須毘古の神・波邇夜須毘売の神

屎(くそ)に成りませる神の名は、波邇夜須毘古(はにやすひこ)の神
次に波邇夜須毘売(はにやすひめ)の神

引用:「古事記」


屎(くそ)は組素(くそ)という暗示です。
組んで素(そ
)にする意味ですね。
そして波邇夜須毘古の神の波邇は埴土(はに)で50音を刻んだ粘土板の意味、
夜須は正確で安定しているさまの意味です。

 

言霊50音を刻んだ粘土板を集めて、言霊50音のひとつひとつの言霊を組んで音図の素にするような点検作業でわかってくるのは、それはどの音もどの文字も正確で安定している言霊だということです。

 

この場合も毘古は音を、毘売は文字という関係です。

 

言霊50音の正確で安定している言霊の音には波邇夜須毘古の神の名がつけられ、言霊50音の正確で安定している言霊の文字には波邇夜須毘売の神の名がつけられました。

弥都波能売の神

尿(ゆまり)に成りませる神の名は弥都波能売(みつはのめ)の神

弥都波能売の神の弥都波能売は「三つの葉(言霊)の目」という意味の暗示です。
何が3つなのかというと、言霊オ、言霊ウ、言霊エの3つです。
その意味を知るために尿(ゆまり)がヒントになります。

 

尿は「いうまり」から「五埋(いう)まり」です。
五(い)とはアオウエイの5母音のことです。

まずは言霊50音をたぐり集めること、そして言霊50音をひとつひとつを点検することが終わって、次に少しずつ並べて整理します。
まず5つの母音を縦に並べることになります。それで「五が埋まり」になります。

 

天位の一番上の段は言霊アがふさわしく、地の位の一番下の段は言霊イが収まることで、その天地にかこまれた真んなかの3つの言霊の目、オウエが成立します。

 

縦に並ぶ5母音アオウエイについて、一番上段の言霊ア、一番下段の言霊イが決まると、真んなかに言霊オ、言霊ウ、言霊エと並ぶ、この3つが並ぶ力動に、弥都波能売の神の名がつけられました。

 

ちなみに著書「古事記と言霊」によれば弥都波能売がかつて日本書紀では
罔象(みつは)の目(め)となっていました。

罔は網で、象は像でかたち、で「網のかたちの目」となり、5つの母音が縦に並ぶと、網のかたちの目のようになり、音図の枠も準備されてきます。

和久産巣日の神

和久産巣日(わくむすび)の神の和久産巣日は枠結びということの暗示です。
または生まれた(産巣)言霊(日)の枠ともとれます。

 

5母音アオウエイが縦に並んで「みつはのめ」で網の目とくれば、
言霊50音がひとつひとつの枠のなかに結ばれるように並ぶ、ということです。

ただし、縦に5母音アオウエイが決まっても、横の並び方については意味内容が
まだはっきりとわからない状態なので初歩的な音図にとどまることになります。

 

言霊50音を整理すると縦に5母音アオウエイと5半母音ワヲウヱヰが決まるが、横の並び方がまだ意味内容未定で決まらない、この初歩的とも言える音図が収まる力動に、和久産巣日の神の名がつけられました。

 

和久産巣日の神による初歩的な言霊50音の音図は天津菅麻音図と呼ばれます。

【天津菅麻音図】

 
 
 
 
8父韻

 

豊宇気毘売の神

この神の子は豊宇気毘売(とようけびめ)の神といふ。

先ほど生まれた和久産巣日の神の子が豊宇気毘売の神であるとわざわざ紹介されているのですね。

 

豊宇気毘売の神の豊は十四(とよ)でイ・チイキミシリヒニ・ヰの父韻10音とアオウエの母音4音のこと、つまり豊は先天構造のことです。

 

そしてその先天(宇)の性質(気)を秘め(毘売)ているという暗示、つまり和久産巣日の神が収める音図(天津菅麻音図)はまだまだ内容に未確認なところがあるけども、将来的にその子(その働き)は先天の内容をしっかりと秘めたものになりますよ、という意味なのですね。

 

もし豊宇気毘売の神の整理がなければ、天津菅麻音図に心の先天構造が含まれるのかという哲学が起きてしまうというわけです。

 

和久産巣日の神が収める天津菅麻音図に先天の内容が秘められるという力動に、豊宇気毘売の神の名がつけられました。

 

 

以上、吉備の児島の言霊の整理・運用法7神を紹介しました。
この島で人間の精神構造を整理して作られた初歩的な言霊50音図である天津菅麻音図が登場しました。
そしてこれから言霊50音の整理・分析作業などがこの天津菅麻音図によって行われます。
次回はできあがったばかりの天津菅麻音図で、混沌としている8父韻の検討へと入っていきます。

言霊原理の島 ⑩小豆島