邦家の経緯、王化の鴻基とは何か

日本民族

こんにちは、デデです。

 

「邦家の経緯、王化の鴻基」という語句がありますので紹介します。

 

「邦家の経緯、王化の鴻基」は見なれない語句ですが「古事記」上巻の序文(序をあはせたり)に一瞬だけ出てくるのですね。

 

そしてその序文を書いたのも古事記を編纂した太安万侶自身の手によるものと言われています。

 

「古事記」上巻といえば言霊原理と言霊の整理・運用法を「神々の名にふせて」隠没させ、その内容と人間の思考プロセスを追求した言霊学ですが、言霊学をご存じなくても「邦家の経緯、王化の鴻基」はわれわれ日本民族として心にとめて見覚えのあるようにしたい語句であります。

 

結論から言いますと
言霊原理の神髄はこの「邦家の経緯、王化の鴻基」にあります。

 

 

「邦家の経緯、王化の鴻基」という語句が登場するのは、「古事記」上巻の序文のなかで当時の天皇が仰った言葉として太安万侶が次のように残しています。

天皇

「諸家がもたらした帝紀や本辞の内容はウソや偽りも
いっぱい入ってたみたいやし、
それを今まで邦家の経緯、王化の鴻基としてきたけど、
もうええかげん見直したほうがええわ。
そろそろ後世のためにしっかり編纂されたものを
お願いするわ。」

以上を意味する文章が古事記上つ巻の序文にあります。

 

では、われわれが現在「邦家の経緯、王化の鴻基」て何ですか、と聞かれると
止まってしまうのではないでしょうか。

 

無理もありません、学校の古典の授業と言えど、そのように日本民族を意識させる教育がなかったですし、私も2年前までは知らなかったですし、日本民族の間で「邦家の経緯、王化の鴻基」が盲点になってしまっていると言えましょう。

 

そこでまずは「邦家の経緯、王化の鴻基」語句の意味をざっとまとめてみました。

参照:「古事記」小学館

邦家・・・読み方:ほうけ、ほうか、みかど
     国家や国のあり方など

経緯・・・読み方:たてぬき
     縦糸、横糸をあらわし、ここでは国家組織の原理

王化・・・読み方:おもぶけ
     天皇の教化

鴻基・・・読み方:おほきもとゐ
     そのおおもととなるもの

 

 

つまり

  • 「邦家の経緯」とは「みかどのたてぬき」と読み、
    国家組織の根本になるもの
  • 「王化の鴻基」とは「おもぶけのおほきもとゐ」と読み、
    天皇の教化の基礎となるもの

となるのですね。

 

それならば「邦家の経緯、王化の鴻基」とは日本民族にとって何なのか、
その答えが古事記上巻に記された言霊原理なのです。

 

国家組織の根本(=邦家の経緯)でありながら、天皇が国民におよぼす教化の基礎(=王化の鴻基)。

 

国体として天皇がお守りし、国民をおほみたからとして教化しているもの、
それが古事記上巻の言霊原理であり、隠されてきた言霊なのです。

 

たとえば古事記上巻を言霊学観点で読むと登場することになる

  • 事戸渡し(物事を精査すること)
  • 身禊(中立の立場に落ち着く言葉を選ぶこと)
  • 天照大御神と月読命と建速須佐之男命による三権分立(わが国と自分の立ち位置)

などの概念がわれわれ日本語民族に備わる言霊原理となります。

 

その言霊原理をいち早く理解できるのは日本語を使っている人ですから、
古事記上巻序文に「邦家の経緯、王化の鴻基」とあるのは当然なのです。
言霊原理によってその結果が「邦家の経緯、王化の鴻基」に落ち着くようでないと、われわれも大切なものを見失ったままでありつづけてしまうのです。

 

われわれ日本語民族にはきちんと「邦家の経緯、王化の鴻基」があって、
その他国にはない、充分誇れるに値する「邦家の経緯、王化の鴻基」
古事記上巻にあるということ、それに立ち返りましょうということです。

 

「邦家の経緯、王化の鴻基」という語句だけでも伝える古事記上巻を知れば、
ただの神話扱いで終わらない、わが国特有の世界に誇るべき大切な古典であることが改めて感じられるようになってきます。