思考(=言霊)を現象化するシステムは2つある

テレビ論

こんにちは、デデです。

 

われわれの思考(=言霊)を現象化するには、あまり考えないことによる「自動的に働くシステム」と、深く考えることによる「努力を要するシステム」があります。

 

たとえば感情や欲に起因する思考などは自動的に働くシステムであり、一方で疑問に思って疑う、そして考える思考などは努力を要するシステムとなります。

 

この学説は実は行動経済学者のダニエル・カーネマン氏の研究成果のひとつです。

 

脳内で生じた思考(=言霊)を現象化するプロセスはまず自動的に働くシステムから始まることを知らなければなりません。

 

そして努力を要するシステムが遅れて作動してくるというわけです。

 

思考(=言霊)を現象化するにはカーネマン氏の功績である「自動的に働くシステム」と努力を要するシステム」の2つを知っておきましょう。

 

 

カーネマン氏の功績は、心理学と認知科学を経済学に結びつけて人間の思考パターンと行動パターンを暴いたことであり、数々の功績のほかにノーベル経済学賞の実績もあります。

 

なかでも日本語訳されたカーネマン氏の書籍「ファスト&スロー(上下)」は彼の全功績がすべて詰まったとも言える知恵本なので、人間心理に興味のある方にはおすすめです。

 

カーネマン氏によれば、人間には2つの思考システムがあるといいます。

  • システム1
    自動的に高速で働き、努力はまったく不要か、必要であってもわずかである。また、自分のほうからコントロールしている感覚は一切ない。
  • システム2
    複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。

引用:「ファスト&スロー」第1部 第1章 登場するキャラクター

レオナルド
レオナルド
「ファスト&スロー 上巻」ダニエル・カーネマン著 村井章子訳

 

そしてカーネマン氏はシステム1を自動的に働くシステム、システム2を努力を要するシステムと定義しています。

 

われわれの思考(=言霊)を現象化し始める時というのは、まずシステム1からなのです。

 

一般的にシステム2が動き出すのは、システム1ではすんなり答えを出せないような問題が発生した時となります。

 

ところが、恐怖で思考が止まった状態とか極度に集中した状態にわれわれが置かれると、システム1で培われた先入観によって現象化してしまったものをすんなり答えとしてしまうことが多くなるのですね。

 

これだと真理の到達どころか、システム2さえも動いていないのです。

 

こういう時、脳の働きは次の2つの事実になることが判明しています。

  1. われわれはまったく明らかなものにさえ気づかないことがある。
  2. そうした自分の傾向に気づいていないことがある。

 

だから毎回恐怖であおるメディアの情報などが洗脳行為と言われるのは、視覚と聴覚の効果でシステム1が先入観を強化させ、それどころかシステム2さえもこなしてしまったかのように錯覚させてしまう効果があるからです。

 

つまり真理の到達にはまずシステム1(=自動的に働くシステム)を勝手に暴走させない環境が必要だということになります。

 

思考が自動的に働きすぎて物事をすぐに決めつけてしまう状態を、言霊学ではわれわれの脳内(=高天原)と物質界(=黄泉国)との間に千引の石が置けていない状態、つまり事戸渡しがまだできていない状態と同じと言えます。

古事記「事戸渡し」は単なる離婚話ではなく大和魂の発露

 

真理の到達に向かう思考(=言霊)の現象化には、「努力の要するシステム」のプロセスもちゃんとこなしておきたいところです。

 

思考(=言霊)を現象化するには、まずはカーネマン氏の言うシステム1とシステム2があることをふまえておくと、何かと間違った方向にいかないようになります。

 

それにシステム1とシステム2は言霊原理の理解の助けになります。

 

脳内でシステム1を制御するように問題提起をする対応をすることでシステム2を呼びおこす。この両者のつながりがまさに適切な思考(=言霊)の現象化の成功に欠かせないのです。