言霊原理の島 ⑥津島

日本民族

こんにちは、デデです。

 

言霊原理の島はこれから子音が活躍する場となります。
最初の舞台は津島(つしま)です。

 

津島の津とは渡し場の意味であります。
どこからどこに、何を渡すことになるのでしょうか。

 

津島では親音である言霊イと言霊ヰによって生まれる32子音のうちの10言霊が鎮座することになります。
そして津島では、心の先天宇宙の17言霊でうごめき始めた考え(=心の力動)を

「実際にはどんな内容の事柄なのか」

と具体的な考えへと詰めていきながら、その考えを次の佐渡の島へ渡すことになるのです。

言霊原理の島 ⑦佐渡の島

 

津島では10言霊のタトヨツテヤユエケメが共同作業をします。
それら10言霊は真名「まな」ではありますが、心の先天宇宙で生まれた考えが
これからまとまっていく段階で、まだ有音の言葉にもなっていないという意味で
「未鳴(まな)」とも呼ばれます。

ちなみに先天の17言霊は「あな(天名)」と呼ばれます。

 

津島に座する言霊は
大事忍男神、石土毘古神、石巣比売神、大戸日別神、天之吹男神、大屋毘古神、
風木津別之忍男神、大綿津見神、速秋津日子神、速秋津比売神となります。

本内容は島田正路著「古事記と言霊」に沿って、私なりに内容をまとめたものです。

大事忍男の神

:言霊タ

言霊タには大事忍男(おほことおしを)の神の名がつけられました。

大事忍男(おほことおしを)の神の大事忍男は

大いなる現象として(大事)押し出してきた(忍)言霊(男)

という意味です。

引用先:「古事記と言霊」神々の生成(子音創生)

言霊タの特徴は父韻チの特徴と似ていて、父韻チを思い出させるものであり、
父韻チとは精神宇宙全体がそのまま現象となって現われる力動韻でした。

 

言霊タは父韻チの力動韻を受け継いで現象となって現われようとする力動です。

 

言霊タは以前、高御産巣日(タカミムスビ)の神が神産巣日(カミムスビ)の神と比べて
頭に「タ」がつくのはなぜかと考えたように、「タ」は主体側を表したり
「自覚された人間性の内容」とか「人間の人格のすべて」の意味に使われました。

 

言霊学では、それを「田」という字が象徴だからというのですね。

人間の精神宇宙は五十個の言霊で構成されています。
この五十個の言霊を以て人間の天与の性能を表しますと、縦五個
横十個に並ぶ五十音表が出来上がります。
人間の全人格はこの五十音言霊図で表されます。
五十音図田んぼの形をしていますので、五十音言霊によって
表現された人間の全人格をというわけであります。

引用先:「古事記と言霊」神々の生成(子音創生)

50音言霊図は単に縦横きれいに並べてあるだけではなく、その音図の並び方で
人間精神と全人格がわかるようになっているのですね。
そのように音図のように現象が押し出される力動が言霊タです。

 

その人間を映す50音図をイメージするところに、いかにわが国の風土が
田んぼに囲まれていたか、太古からの永遠の情景に思いを馳せるところです。

石土毘古の神

:言霊ト

言霊トには石土毘古(いはつちひこ)の神の名がつけられました。

石土毘古の神の石は五十葉(いは)で五十音言霊のこと、
土は培うの意、毘古は主体のことで、石土毘古は

五十音言霊を育てるチイキミシリヒニの八父韻の実際の働きのこと

であります。

引用先:「古事記と言霊」神々の生成(子音創生)

言霊ト十(と)に通じているため、50音言霊図の横にならぶ10音をにつながるのですね。

 

音図から現象が押し出そうとする力動の言霊タのあとなので
言霊トは音図を支える横10音、イ・チイキミシリヒニ・ヰなどの力動です。

石巣比売の神

:言霊ヨ

言霊ヨには石巣比売(いはすひめ)の神の名がつけられました。
石巣比売の神の石巣比売で50音言霊(石)を秘め(比売)ている住家(巣)という意味を暗示します。

 

言霊ヨ四(よ)に通じているため、音図で4言霊といえば言霊の母の住家である、
縦4母音のウオアエの次元につながるのですね。

 

石土毘古の神と石巣比売の神の名でお気づきのとおり、
言霊ヨは言霊トとペアですから、言霊トの働きにならって、
言霊ヨが音図を支える縦4音、ウオアエなどの力動です。

大戸日別の神

:言霊ツ

言霊ツには大戸日別(おほとひわけ)の神の名がつけられました。
大戸日別の神の大戸は大いなる十の創造知性(父韻)の意、日は霊(ひ)で働きのこと、別は元の場所から離れて現われ出てくること、となります。

 

よって大戸日別の神の名の暗示は

創造知性の言霊トが現われ出る場所

を問いているのです。

 

言霊トである音図の横10音が姿を変え、場所を変え、現われ出てくるとしたら、
言霊ヨである4母音ウオアエのうちのいずれかの次元において可能となってきます。

 

たとえば、
ウ・8父韻・ウ 計10音
オ・8父韻・ヲ 計10音
ア・8父韻・ワ 計10音
エ・8父韻・ヱ 計10音
といった感じです。

 

言霊ツとは音図の横10音のなかに力動する8父韻が、縦4音の母音に
積極的に近づいて「付く」ような力動です。

天の吹男の神

:言霊テ

言霊テには天の吹男(あめのふきを)の神の名がつけられました。
天の吹男の神の天は先天宇宙の意、吹は吹きつける行為、男は主体で、
ここでは父韻の意になります。

 

天の吹男の神の名の意味は、先天宇宙において8父韻が吹きつける、ですね。
言霊ツの流れからくると、吹きつける先は4母音ウオアエのいずれかの次元になります。

 

ところで言霊テは同じエ行の言霊エの力動のある言霊で「選ぶ」働きがあります。

8父韻が付こうとする母音ウオアエのうち、どの次元の母音とつながるかを選ぶことで、母音の次元(欲求、感情、経験、実践智)のどれかで、8父韻の言霊の配列が異なってくるのです。

すると今後50音図をつくるときに、母音の次元ごとの音図ができあがるのです。
(音図には天津金木音図、赤珠音図、宝音図、天津太祝詞音図、天津菅麻音図があります。)

 

言霊テは8父韻が4母音のうちの次元を選んで吹きつける力動です。

大屋毘古の神

:言霊ヤ

言霊ヤには大屋毘古(おほやひこ)の神の名がつけられました。
大屋毘古の神の大屋は大きな構造物の意、毘古は主体の意です。

 

心の先天宇宙からポッと生まれ、吹きだした8父韻が母音と組み合わさることで、
心の先天宇宙に生まれている当初の「考え」が母音の次元(欲求、感情、経験、実践智)を選び、その次元の特徴にそった構造物をつくろうとするような力動です。

 

言霊ヤとは8父韻と4母音の組み合わさることにより、心のなかの
「考え」が大きな構造物のようにモクモクと形成していく力動です。

風木津別の忍男の神

:言霊ユ

言霊ユには風木津別(かざもつわけ)の忍男(おしを)の神の名がつけられました。
風木津別の忍男の神の風木津別とは霊と体、主観と客観に分かれるなど、
物事が二元化される意味、忍男は押し出す言霊という意味です。

 

この言霊ユは著書「古事記と言霊」から引用します。

風木津別の忍男の神名全体で、
心のなかで次第にひとつの考え・イメージとなってまとまってきた形が、やはりその内容として

霊と体、主観と客観という区別

を失うことなく分け持っており、
それが湯のごとくに湧き出して行く現象という意味です。

引用:「古事記と言霊」神々の生成(子音創生)

 

言霊ユは「考え」が大きく形成されたイメージであっても、霊と体・主観と客観というような二元性の性格を持ち、二元性の性格をはっきりと湯(ユ)のように湧き出す力動です。

大綿津見の神

:言霊エ

言霊エには大綿津見(おほわたつみ)の神の名がつけられました。
※このエはヤイユエヨのエです。
大綿津見の神の大綿津見とは海(綿)に渡して(津)明らかになる(見)という意味です。

 

ここでの海とは自然の海のことではなく、人間の口のなか(口腔)のことですね。

 

心の先天宇宙から生まれ出た「考え」が、4母音のいずれかの次元を選び、二元性の性格を帯びて、まとまったイメージを形成してきました。
そしてついに言葉となって口腔に渡されるのに、海に出る、いわば「川」の流れをつたっている間にその「考え」が現象として明らかになる力動です。

 

言霊エはまとまったイメージとなった「考え」を言葉にするよう、人間の口腔(海)の際まで渡すまでに、「考え」が明らかになる力動です。

速秋津日子の神・妹速秋津比売の神

:言霊ケ
:言霊メ

言霊ケには速秋津日子の神の名がつけられ、
言霊メには妹速秋津比売の神の名がつけられました。
速秋津日子の神の速秋津(はやあきつ)とはすみやかに(速)明らかに(秋)渡す(津)、
日子は主体の暗示であり、
同じく妹速秋津比売の神でも比売は「秘め」で客体という暗示です。

 

大海原に出るには「港」から出ることになりますが、
古事記では速秋津日子の神のことをしっかり

「水戸(みなと)の神名は速秋津日子の神」

と明記しています。

「港」ですみやかに明らかに「考え」が言葉に組まれるようとしているのですね。

 

そこで先に登場した言霊ユのとおり、形成されてきた「考え」には

霊と体(主体と客体)

が伴うようになっています。
つまり口から出る言葉とは単なる音ではなく、霊と体がうつる現象になります。
言霊ケは気であり、霊であり、主体を受け持ち、
言霊メは芽であり、眼であり、客体を受け持ちます。
そして言葉というひとつに集約されるためにペアとなっています。

 

言葉へ組まれる前に、言霊ケは霊として、言霊メは体としてペアになり、
「考え」をすみやかに明らかに言葉に渡そうとする力動です。

 

 

以上、津島に座する言霊10神を紹介しました。
先に申したようにまだ言葉としては組まれない未鳴(まな)の期間ではありますが、
心の先天宇宙で生まれ出た「考え」が言葉になるまでに大切な秩序であります。

次回ではついに言葉となっていく、口のなかの動きを見ていくことになります。

言霊原理の島 ⑦佐渡の島