こんにちは、デデです。
わが国の天皇を象徴する三種の神器のひとつに「鏡」があります。
三種の神器は鏡、剣、勾玉でありますが、今回はその鏡についてです。
そしてそれは八咫鏡(やたのかがみ)として有名です。
しかし鏡と聞けば、普通顔を見る時に使う道具としての鏡や、
「吾妻鏡」「四鏡」などの歴史書が思い当たりますね。
つまり鏡は人間の本質を映す「物」なのです。
道具の鏡は人間の顔を映し、歴史書の鏡は過去に生きた人間の生き様などを映してくれます。
それでは八咫鏡はなぜ天皇に関係するものと言われているのでしょうか。
そして八咫鏡は何を映しているのでしょうか。
そのヒントを言霊学が教えてくれます。
天皇家から始まる言霊研究
まずわが国の言霊原理の発見とその研究は、
明治天皇とその周辺の知識人から開始されてきたとされています。
なぜ明治天皇が?という疑問は横に置き、言霊研究はほぼ皇族で行われ、
昭憲皇太后本人、昭憲皇太后の家系で天皇家とゆかりの深い一条家でありました。
そして言霊研究の協力者で一般人であったのは昭憲皇太后のお付き書道家であり神代文学研究科であった山腰弘道、などでありました。
明治天皇の治世まで長らく皇族関係者の間で隠没されてきた言霊原理が
明治天皇の頃に表に出され、そこから初めて「古事記」に書かれた真意が
堂々と研究され始めたのです。
そして「古事記」に隠された言霊の解読と研究は
昭和時代になって山腰弘道の三男の山腰明將に引き継がれました。
そこで古事記上巻の言霊原理解読が一定の完成を見ます。
その山腰明將が昭和15年の講演録のなかで、
われわれは「言霊(げんれい)」の原理などを理解していないと、
奥のものがまったくわからない、怖れ多くも伊勢神宮の「御鏡」もわからない。
「御鏡」も商品の鏡といっしょと考えておってはあまりに末梢、と
日本人の鏡への覚醒を鼓舞しています。
八咫鏡は言霊原理の神器
明治天皇の治世に始まった言霊原理復興のポイントは、
古事記上巻へ立ち返ること
であり、それ以来言霊研究の先哲たちの「古事記」解読の多大な努力よって、
わが国の歴史の始まりは古事記に記載されたような神話ではない
という見解も固まってきたのですね。
それに応じて他に現存するような古代文献などの研究も併せてすすむことになり、
最終的に落ち着いた結論は
- わが国において天皇は神武天皇以前にも存在したこと
- 神武天皇よりも先の王朝で存在したであろう天皇の治世の頃から、
言霊原理が存在し八咫鏡(やたのかがみ)が存在したこと
といった見通しです。
しかし実際のところ先哲の血と汗のにじむような言霊研究がすすみながら、
日本国学のアカデミーの世界では彼らの功績がまだ認められたわけではありません。
古事記による天孫降臨の記事を下記にてご覧ください。
天照大御神高木の神の命もちて・・・
ここにその招(そ)ぎし八尺(やさか)の勾玉、鏡、また草薙の剣、
・・・賜ひてのりたまはくは
「これの鏡は、もはら我が御魂として、吾が御前を拝(いつ)くがごと、
斎(いつ)きまつれ。」・・・とのりたまひき。
引用:古事記
これを天孫降臨に際しての天照大御神の神勅という。
その意味は人類文明創造の任にあたる最高の責任者は
勾玉、剣、鏡の三種の神器に象徴される言霊布斗麻邇(げんれいふとまに)の原理
を自覚し奉戴して行うべし、という命令である。
引用先:「古事記と言霊」
つまり八咫鏡とは
言霊原理の50音を一目みてわかるように配列して、人間の規範の原典(範疇)として収めたマントラ
であり、
八咫鏡の最高責任保持者が天皇であったのです。
咫(あた)とは太古の尺度であり、人差し指と中指を開いた広さ、
つまりピースサインのとき力を抜いて広げたときの大きさです。
それを8つくっつけたものが八咫になります。
8つの区切りには8父韻のチイキミシリヒニが仕切ることになります。
「古事記と言霊」の販売元さんが復元された八咫鏡をご参照ください。
「古事記と言霊」の販売元さんの無料動画もご参考ください。
八咫鏡は心の宇宙の規範を示した範疇であります。
八咫鏡と日本人
わが国の天皇は八咫鏡を預かる、伝統的言霊原理の最高責任者、であったのです。
われわれ日本語族も八咫鏡の規範を通じて太古の言霊原理を再認識し、
日本語の音と文字に残る現代のアイウエオ言霊音図から、言霊原理の存在を自覚するのが役目であります。
八咫鏡の中央に座するのが「イとヰ」という言霊、つまり創造意志です。
「イとヰが」八咫鏡の中央にある位置する意味は
何事も「イとヰ」の創造意志から現象が生じること
を表します。
つまりすべては自分の心に起こる創造意志の発露からなのだ、という範疇が
一目でわかるようになっているもの、それが八咫鏡なのです。
日本人が創造意志を発揮して世界的に優秀な人材、団体を輩出したり、
相手を敬う文化と相手と感謝しあう環境を創造し続けてきた歴史には
日本語の言霊原理がおおいに関係しているのです。
最後に
天皇の三種の神器のひとつである八咫鏡について言霊原理を交えながら
お伝えしました。
神社に御祭神として祭られる鏡は文字どおり物質の鏡でありますが、
八咫鏡は言霊原理にもとづいた人間の規範の範疇を表したものでありました。
特筆すべきは明治天皇の治世から隠されてきた言霊原理が皇族から離れ、
そして天皇の「おほみたから」である先哲たちの血のにじむ言霊研究の結果、
今こうしてわが国の古くからの言霊原理が八咫鏡を通じてわれわれにも理解できるようになっているのです。
皇族だけに守られていたわが国の言霊原理が約2000年以上眠っていたのに、
そのような大切な言霊原理が明治天皇の治世から明るみになって世に問い始めた、そのような時代の劇変とも思える動きにとても意味があるように思うのです。